アキレス腱断裂

アキレス腱の断裂について説明します。

なぜアキレス腱が断裂するのか?

アキレス腱断裂は頻度の高いスポーツのケガで、自分がみてきたラグビーチームにも必ず1人はアキレス腱を受傷した選手がいました。年齢を重ねるとより断裂する可能性が高くなります。40台の僕が今一番気をつけているケガで、予防のために下腿三頭筋(かたいさんとうきん)のストレッチとトレーニングは入念にやってます。

後ろにステップを踏んだときに、後方から蹴られたような感覚があるというのが特徴的な受傷機転です。後方へのステップというのは、アキレス腱が引き伸ばされつつ力を発揮しなければならないので、もっとも負荷がかかる動作です。なので断裂しやすいんですね。それほど痛みは強くないのですが、力が入らないためつま先立ちができません。これで「アキレス腱断裂だな」って検討がだいたいつくのですが、エコーでみれば一目瞭然です。

アキレス腱断裂のエコー画像 
正常なアキレス腱は白線の束(黄矢印)ですが、その束が中央で途絶(白矢印)してます。
黒くなっているのは血腫(血が凝固したもの)です。

治療は?

手術でアキレス腱を治す方法と保存療法(手術をしないで治す方法)との2つがあります。100人治療したときに保存療法では9人が再断裂し、手術療法では4人が再断裂したとの報告があり、わずかですが保存療法の方が再断裂してしまう確率が高いです。ただ大きな数ではないので、スポーツを日常的にする人以外には保存療法をすすめています。

手術療法の方が再断裂が少ないのですが、問題点としては「大きなキズができる」「そのキズが感染する」「神経を痛めてしまう」などがあります。なのでどちらの治療にも良い点と悪い点があります。担当の医師とよく話して決めるべきだと思います。エコーを使った手術では、小さなキズでアキレス腱の縫合ができて神経も避けることができます。手術療法を選んだ場合、僕はこの方法を行ってます。

日常生活やスポーツへの復帰はいつぐらい?

アキレス腱断裂の治療において、以前は8週間!!ギプス固定が行われていましたが、現在は固定期間を短くして早めに動かしていくリハビリが主流になってきてます。早めに動かした方が腱がキチンと治るといわれてます。

手術した場合、ギプスでの固定を1~2週間行って、その後はブーツのような装具(アキレス腱装具とよばれてます)に変更して体重をかけていきます。ブーツを外すのが手術から6週後ぐらいで、軽作業を含むお仕事に復帰できるのがだいたい3か月後ぐらいです。スポーツへの復帰は4か月という報告が多いです。(ただしスポーツへの復帰率は保存療法で78%で、手術療法では83%です。残念ながら全員が元のレベルへ復帰できるわけではありません。)実際にはフルに試合レベルへ復帰できるのは5~6か月かかることが多いです。

最後まで読んでいただいてありがとうございます。