股関節の痛み

股関節痛(あるいは鼠径部痛と表現される場合もあります)は、その原因は多岐にわたります。

大まかに分けて、突然起こる外傷(1回のケガで生じたもの)と徐々に起こる障害(繰り返しのストレスで生じるもの)に分けられます。

1.外傷(突然起こる)

大腿四頭筋(太ももの筋肉)が急激に働くことによって、それらが付着する骨盤に裂離骨折(骨が剥がれる骨折)が起こります。

例えばダッシュをしたときに股関節の前側が突然痛くなってプレーできなくなったという時がそうです。

成長期にはまだ骨端軟骨(骨が成長するところ)が残っており、そこの部分は構造に弱いため裂離骨折が起こりやすいのです。

また小学校高学年から中学生くらいの成長期には、股関節周りの筋肉の柔軟性が低下しやすい(骨は自然に伸びても筋肉は自然に伸びない)ので、その時期に多く起こります。

また股関節の内側を走る内転筋という筋肉の肉離れによって突然の痛みが生じることもあります。

2.障害(徐々に起こる)

痛かったり痛みが軽減したりを繰り返すような状態を障害といいます。

股関節を曲げたときに繰り返し痛みがでる場合は、太腿の骨と骨盤が衝突して痛みが生じる「大腿臼蓋インピンジメント」という状態の可能性が高いです。

また股関節を動かしたときに途中で引っかかりがあったりパキンという音があったりたりすると、スナッピングヒップといって筋肉や腱(腸腰筋腱や大腿筋膜張筋)と骨(骨盤の骨や大腿骨)がこすれて痛みや音が鳴っている可能性があります。

このような特徴的な動作・音がないにもかかわらず、走ったり股関節を大きく動かすと痛いけど休むと軽減することが3週以上続く場合は疲労骨折の可能性もあります。

大腿骨頚部と呼ばれる場所や恥骨部に疲労骨折が隠れている場合もあります。

治療

ほとんどの場合はリハビリを中心とした保存療法(手術をしない治療)で治癒しますが、大腿臼蓋インピンジメントやスナッピングヒップでは手術となる場合もあります。

正しい治療のためには正確な診断が必要となりますので、スポーツを専門とした病院を受診することをお勧めします。

臼蓋形成不全など小児期からの異常が隠れている場合もありますので、レントゲンを含めた画像診断が必要です。

またスポーツヘルニアといってスポーツ動作によって腸の一部が腹腔内から脱出することが稀にあり、それが原因となる可能性もありますので、正確な診断は必須です。

裂離骨折や疲労骨折がみつかれば骨が癒合するまでプレーから離脱する期間が必要になります。

その他の原因の場合は、リハビリで動作を改善しながらプレーを継続することができます(重症であれば休むこともあります)。

リハビリ

どのような原因であったとしても、まずはリハビリを行うことが第一となります。

特に成長期では、骨の成長に筋肉や神経の成長が追いつかないので、筋肉をバランスよく動かせなくなっています。

上半身と下半身をバランスよく動かす訓練、上半身と下半身の間に位置する体幹が安定している必要がありますので、体幹トレーニングが必須となります。

また股関節周囲の柔軟性をアップさせるストレッチも必要です。

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