肉離れ(下肢を中心に)

肉離れは二つの関節をまたぐような長い筋肉に多く起こります。

例えば腓腹筋(ふくらはぎ)・ハムストリングス(太腿の裏側)・大腿四頭筋(太腿の前側)は、足関節と膝関節あるいは膝関節と股関節をまたぎます。

長い距離を走行するこれらの筋肉が急激に力を発揮した場合に肉離れは起こります。特に遠心性収縮と呼ばれる筋肉が引き伸ばされながら力を発揮するときに起こりやすいです。

スピードがあるプレーヤーはスプリントでのハムストリングス肉離れが多く起こりますが、30代を超えてくると腓腹筋の肉離れが多くなります。

治療

運動中に突然鋭い痛みがでて、断裂するような音がすれば肉離れの可能性が高いです。歩けなくなることもあります。

重症であればその部位に血腫(皮膚が紫色になりますよ)ができたり、陥凹(へこんでいること)が触れてわかります。

正確な診断には超音波検査やMRI検査が必要となりますので、受傷翌日以降にスポーツを専門とする病院を受診してください。

骨から剥離するような形の重症な肉離れだと手術となる可能性がありますが、多くは保存的加療(手術をしないリハビリを中心とした治療)で治癒します。

スポーツ復帰までの大まかな目安は、軽症ならば2~4週間、中等症ならば38週間、重症ならば2~3か月(手術になればそれ以上)となります。

リハビリ

肉離れ、特にハムストリングスの肉離れは再発しやすいです。

肉離れの既往がないプレーヤーと比較して2~6倍受傷のリスクが高くなると言われています。

他の肉離れのリスク因子としては、ウォームアップ不足、下肢の柔軟性低下、体幹の安定性不良、筋力のバランス不良などがあります(左右での筋力の差とハムストリングスと大腿四頭筋の筋力のアンバランス)。

リハビリではまず体幹の筋力をしっかりアップさせながら、疼痛にあわせてストレッチを行い柔軟性の改善を図ります。

肉離れした筋肉の連続性が回復してきたら、損傷した筋肉をしっかり鍛えなおして、左右差がなくなるように努めます。

またハムストリングスと大腿四頭筋のバランスも大事ですので両方とも鍛えなおしましょう。

復帰をする際にも、急激な筋肉の収縮が起こるような動作(スプリントやカットイン動作)は最後の段階にしましょう。

ジョギングから再開して、ランニング、加速走、スプリント、カッティング、ゲームへの復帰と段階を踏んであげていくことが重要です。これらによって再発の予防に努めます。

復帰した後も体幹のトレーニングや柔軟性が維持されるようなストレッチは予防として続けつつ、ウォームアップをしっかり行いましょう。

最後まで読んでいただいてありがとうございます。

ポイント

1.肉離れは腓腹筋(ふくらはぎ)・ハムストリングス(太腿の裏側)・大腿四頭筋(太腿の前側)に起こりやすい。

2.肉離れ、特にハムストリングスの肉離れは再発しやすいため、再発予防のためにリハビリをしっかり行って復帰することが必要。