前十字靭帯損傷

今回は前十字靭帯損傷についてです。

膝を支える靭帯の1つに前十字靭帯(ACL)があります。

ACL損傷は頻度の多い外傷で、なおかつ復帰にも時間がかかる厄介なケガの1つです。

アメリカでは年間約20万人が受傷すると言われており、女性が男性に比べ3倍多く受傷するそうです。特に高校生の年齢に多いと言われています。

スポーツ中に膝を捻ってしまい、膝がずれた感覚があったり、膝の中で断裂したような音(ポップ音)がしたり、または捻った後に膝がすごく腫れたりするとACL損傷を強く疑います。

正確な診断を行うためにMRI検査でACL損傷を判断します。

またその他にも合併症として内側側副靱帯や半月板の損傷が同時に発生することが多いです。20~40%の確率でそれらを合併すると言われております。

治療

大きく分けて手術療法と手術をしない(保存療法)に分けられます。

手術については、トップアスリートであれば手術を早く行うべきだと言われています。

というのも保存療法でバスケを続けると、膝がズレるような症状である「膝くずれ」が起こりやすくなります。

この「膝くずれ」を繰り返し起こすと膝を構成する半月板や軟骨を痛めてしまうためトップアスリートに関しては早めに手術をすることを推奨されています。

トップアスリートとまでは言わず、レクリエーションのように楽しんでいる方では手術をしないでリバビリを中心とした保存療法も選択肢の1つです。

痛みと腫れは1ヵ月もすればよくなり日常生活での支障はなくなります。

直線的な動作はできるようになりますが、リハビリをやっても方向を転換するような動作で「膝くずれ」を起すようであれば、手術にてACLを作りなおすというのをお勧めします。

リハビリ

手術を受ける・受けないに関わらずリハビリがとても大事です。

手術をした場合、術後6~8ヶ月でバスケットボールに復帰と以前は言われていましたが、作り直した靱帯が9ヶ月かけて自分のものになった頃に復帰することが最近では推奨されています。

ランニング開始する術後3~4ヶ月程度、練習に部分的に参加するのが6~8ヶ月ぐらい、試合への復帰が9ヶ月程度と推奨されています。

予防

体の使い方を向上させることで安定した動作ができるようになるため、それが予防につながります。

股関節周囲や体幹の強くすることが必要です。またランジと呼ばれる動作においてつま先と膝が一直線になるような動きを獲得することが予防につながります。

他にも多くのトレーニング方法がありますが、サッカーで導入されているFIFA11+や女子ラグビーで導入されているSKIPなどのプログラムが参考になります。

最後まで読んでいただいてありがとうございます。