膝の内側側副靱帯損傷
今回も膝のケガについてです。
膝を構成している靭帯の1つである内側側副靱帯(MCL)は、アスリートにとって非常に多い膝の外傷と言われています。
MCL損傷はその約8%を占めており、前十字靭帯(ACL)の損傷と合併することがあります。
メカニズムとしては相手と接触した時や、方向転換の際に膝が内側に入るような動作「外反」という動作で受傷することが多いです。
ACL損傷に比べ受傷後の腫れは強くないですが、膝の内側を痛がることが多です。
診断にはMRIやエコーが使用され、そして損傷の程度を評価し治療方針を決めて行きます。
治療とリハビリ
MCLは血流がよい靭帯のため、手術を行わず自然治癒する場合が多いです。
以前までは装具で膝を3週間固定し体重をかけないように治療するのが一般的でした。
現在はスポーツに精通したスタッフ、ドクターや理学療法士などが管理のもとに最初から少しずつ負荷をかけていきます。
痛みと腫れが落ち着いたら受傷後早期(48時間後以降)から膝を曲げ伸ばしする練習を始めます。
また膝を伸展させる筋肉である大腿四頭筋に力が入っていれば、体重をかけて歩きます。
膝の外反を防止する装具を装着しながらリハビリを行うことが多いです(テーピングでもOKです)。
体重をかけての歩行ができればジョグへすすめ、ジョグがOKならスプリントへ進めます。
スプリントができればピボットやカッティング動作をやって、練習に復帰していきます。
練習でも問題なければゲーム再開となります。
週ごとに少しずつ負荷を増やしていくのがポイントです。
参考までにアメリカの研究では試合復帰までに必要とする日数として下記があります。
軽症:10日程度(1~2週間)
中等症:20日程度(3週程度)
重症:ACL損傷の合併があれば手術ですが、ACL損傷の合併がなければまず2ヶ月間リハビリを行い、それでも靭帯損傷による関節の緩さ、痛みが出現するようなら手術となります。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。