半月板損傷

今回は膝の半月板について説明したいと思います。

半月板って何?

半月板とは膝関節を構成する大腿の骨と脛の間にあるC型をした線維軟骨で内側・外側にそれぞれあり、主にクッションの役割をはたしています。

スポーツでの接触やターン動作で半月板を損傷することが多いです。

症状としては、膝が腫れたり、膝を深く曲げた時に痛みが出現したり、膝の中で何かが引っかかるような症状がでたり、”ロッキング”と言われる膝を伸ばすことできないがある角度から伸ばすことができるようになるなどがあります。

日本人の約3%には”円板状上半月板”という、半月板が生まれつき大きい人がいて、その人たちは半月板を損傷しやすいと言われています。

診断をはっきりさせるためにはMRI検査を行いますが、超音波検査でも半月板損傷の診断ができるという研究もでてきています。上記の症状が出現した場合は整形外科でもスポーツを専門としている病院受診してください。

治療は?

半月板というのは自然治癒が起こりにくい組織で手術となることが多いです。

プレイ中に膝の中で引っかかりがある場合や、膝の痛みでプレイに支障がある場合は手術での治療を考慮します。

手術には損傷した部分を一部切除する①「部分切除術」と、損傷した部分を縫合する②「修復術」というのがあり、どちらの手術にもメリットでデメリットがあります。

  1. 部分切除術

「部分切除術」は術後1~2ヶ月程度で試合への復帰となり早期復帰が可能なことが特徴です。

しかし半月板の量が減ることで軟骨に負荷がかかりやすくなり、長期的には軟骨がすり減り変形性関節症になりやすいと言われてます。

短期で見ると復帰が早く良いのですが、長い目で見ると良くない点もあります。

  1. 修復術

長期的な視点で考えると可能な限り修復術(縫合術ともいいます)を推奨します。

ただし縫合をするためには、半月板の断裂の状態が治癒力を持った状態でないとできません。

受傷して比較的早期であれば治癒力が残っている場合が多いです。

また半月板の辺縁(外側)で損傷しているときは治りやすいと言われています。

そういった場合は、半月板の縫合を積極的に行います。

ただし、試合への復帰は時間が長くかかります。復帰までの期間は術後4~5ヶ月程度かかると言われています

リハビリは?

半月板損傷を起こすと、痛みや腫れで膝を伸ばす筋肉である大腿四頭筋の力が入りづらくなります。

股関節、体幹のトレーニングをもちろん行いますが、特に行うべきはこの大腿四頭筋の筋力を戻すことです。

半月板損傷からの期間が長ければ長いほど、この筋肉の衰えである廃用が進むため「大腿四頭筋のセッティング」や「踵上げ」といったトレーニングを行っていきます。

半月板を縫合した場合は、縫合した部分を守るために術後6週ほど体重をかけることを制限します。

術後1.5ヶ月~2ヶ月程度で松葉杖を使用せず歩行が可能となるため、下肢に対してトレーニングを行っていきます。

術後3~4か月で練習に参加できるようになり、試合に復帰できるのが4~5か月程度となっています。

半月板切除術の場合は、特に制限を設けませんので1~2ヶ月程度で試合復帰まで進むことが多いですが、長期的には変形性膝関節症へ進展するリスクがあります。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。