アキレス腱断裂 その2 手術療法の考え方
今日もアスリートのアキレス腱断裂の方が受診されました。
陸上で着地した際にアキレス腱に痛みが走ったとのことです。
超音波でみるとアキレス腱完全断裂しておりました。
手術をするか?保存的加療でいくか?という決断が必要になります。
以前のブログでも説明しましたが、アスリートには手術療法を勧めています。
理由としては、
1.再断裂率が低い。2017年の研究では手術が4%で保存が10%です。ただ両者に差がないという論文もあります。
2.筋力が維持されやすい。2010年の研究では、筋力には差がないと結論付けられてますが、よくよく論文を読むと、速い動きでは20%ほどの筋力差があります。少しでも瞬発力を必要とする場合は、この筋力を維持することは必要不可欠です。
3.最先端のアキレス腱手術では小さな傷で手術ができる。2021年の研究では手術には10ー15%の割合で創部感染などの合併症があることが示されています。合併症の割合がこれだけ高いと手術をするのをためらってしまいますよね。
しかしながら、現在自分が行っている運動器超音波をつかった手術では、2-3㎝の横切開だけですみますので創部はほとんど目立ちませんし感染の経験は皆無です。
1.2の理由と、3の手術技術の進歩を考慮にいれると、アスリートには手術を推奨しております。
ただし本日の方は大学4年生で、最後の大会が9月ということでした。以前にも述べましたが競技に復帰するのは手術後4か月程度かかるので、手術を行っても間に合わないという計算になります。よって今回は手術をおこなわず3-4週間ギプスで固定をする保存的加療を選択しました。
残念ながら今回のケガで大学での陸上生活がピリオドを打たれてしまいました。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。