かかと周りの痛み
かかと周りには足底腱膜やアキレス腱があり痛みの原因になりますので今回説明します。
なぜ痛くなるのか?
踵まわりの足裏の痛みで一番多いのは足底腱膜(そくていけんまく)の痛みです。ランナーにはほぼ必発で、僕自身も自分で自分を注射したことがあります(涙がでるほど痛かったです)。踵をついたときの衝撃を吸収するのがこの足底腱膜ですね。アーチが低い偏平足の選手(僕ですね。。。)や、逆にアーチが高い人もなりやすく、太り気味の人が多いです。夏になると足底腱膜になる人が増えます。なぜでしょうか?ビーチサンダルを履く機会が増えると靴に比べて足底腱膜負担がかかりやすくなるからです。朝起きて一歩目に「痛っ。。」ってなってスタスタ歩けないのが特徴です。
踵まわりで足首よりの痛みで一番多いのはアキレス腱の痛みです。これもランナーを始めとする30から40代の運動愛好家に多いです。ふくらはぎの筋肉は下腿三頭筋(かたいさんとうきん)とも呼ばれていて、文字通り「三つ頭がある」筋肉です。三つの頭があるのに、骨に付くところはアキレス腱だけなのでそこに負担がかかりやすいです。なので、断裂を起こしたり(アキレス腱断裂についてはまた後日に説明しますね)、アキレス腱の変性(簡単にいうと使いすぎによる老化です)につながるんですね。特徴的な症状は運動したときにアキレス腱周囲に痛みがでることです。足底腱膜と一緒に痛くなる場合もあります(この場合は踵全体が痛くなります)。
どういう治療があるのか?
足底腱膜の痛みもアキレス腱の痛みも、そこに負担がかかりすぎてオーバーユース(使いすぎ)になることが原因なので、安静にするのが一番手っ取り早い治療です。ですが、安静になんかできない選手も沢山いますね(僕もそうです)。なので運動しながら治せる方法を紹介していきます。
ストレッチ:アキレス腱と足底腱膜の両方ともしっかりストレッチをする必要があります。
靴の工夫やインソール:ヒールの部分がしっかりした運動靴を履きましょう。また足の底(シャンクと呼ばれます)が柔らかいと足底腱膜に負担がかかりますので、足底がしっかりした靴を履きます。またインソールをいれて踵をサポートするのもよいです。
運動:足底腱膜やアキレス腱に敢えて高い負荷をかけることで傷んでしまった組織の再生が期待できます。踵上げの運動(ふくらはぎのトレーニングでやる運動ですね)は、足底腱膜にもアキレス腱にも高い負荷がかかるため、よい方法であると推奨されています。
ただ痛みが強くて「ストレッチできない」「負荷をかけることができない」って声をよくリハビリのスタッフから耳にします。こういう時は注射で痛みを緩和します。従来ならば「ここら辺だろう」という形で注射していましたが、現在はエコーで病変をみながらピンポイントに注射します。(図)注射によって痛みを緩和させることで、「痛い」→「ストレッチや運動ができない」→「ますます痛い」→。。。。という負のサイクルから脱出することができます。注射は1回で効果があることもありますが、2-3回打つ場合もあります。その場合は注射の内容を変更します。
エコーで足底腱膜やアキレス腱をみてみると、変性(使いすぎによる老化ですね)が進行している場合もあります。こういった場合は、先ほど述べたストレッチ・運動・注射では十分よくならないので、組織を再生させるような治療を行ないます。体外衝撃波や多血小板血漿療法がそれに当たります。これもエコーを使って組織が変性している箇所を狙ってピンポイントで治療します。体外衝撃波は痛みを伴う治療ですが、安静期間が必要ありませんし、足底腱膜の場合だと保険が効きます。それに対して多血小板血漿療法は、自費の治療になり安静期間(1ヶ月程度)が必要になりますが、従来の注射に比べて痛みが緩和される時間が長いです。
今までの治療で良くならない場合は?
それでも良くならないときは手術を行なうのですが、従来はメスで大きく切って変性(老化)しているところ削って、もう一度縫い直すということをやっていました。また組織を切ってしまう方法もありました。それに対して新しい手術として、エコーを使ってピンポイントに変性した部分をお掃除して、その部分を再生させる治療がでてきました。従来の手術より5mm程度の傷ひとつだけですので、痛みが少ないですし、運動に復帰するまでの期間が短くすみます(2ヶ月程度です)。アメリカでその手術を学んできたので、一刻も早く日本でも導入したいと思っています。また項を改めてエコーガイド下手術の説明をします。